○岩沼市環境基本条例

平成27年3月3日

条例第2号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 施策の基本方針(第7条)

第3章 施策の総合的かつ計画的な推進(第8条―第28条)

第4章 環境審議会(第29条―第34条)

第5章 雑則(第35条)

附則

私たちのまち岩沼は、西部の千貫山丘陵から東部の太平洋に至るまでなだらかに平野が広がり、南部には阿武隈川が流れるなど豊かな自然環境に恵まれている。古くから先人たちは人と自然の調和を保ちながら歴史と文化を育んできた。

近年、私たちは、生活の利便性を高める一方で、環境へ少なからず負担をかけてきた。身近には自然とのふれあいが少なくなり、広くは地球温暖化による気候変動、生物多様性の破壊などへも影響している。また、東日本大震災による影響は、我が国のエネルギー問題を大きく顕在化させた。

私たちは、健康で文化的な生活を営むことができるよう恵み豊かな環境を享受する権利を有するとともに、この環境を未来に引き継いでいく責務を有している。

このような認識の下、私たちは、良好な環境の保全と創造に関して取り組むことを決意して、自ら調和と節度をもって行動することで、それぞれが責任を果たし、恵み豊かな環境を持続的に享受できるまちを実現するため、ここに岩沼市環境基本条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、良好な環境の保全及び創造について基本理念を定め、市、市民及び事業者の果たすべき役割と責任を明らかにするとともに、良好な環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって人と自然が共生する市民の健康で安全かつ快適な生活の確保に寄与し、これを将来の世代に引き継いでいくことを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の採取のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずることをいう。

(基本理念)

第3条 良好な環境の保全及び創造は、市民が健康で安全かつ快適な生活を営むことができる良好な環境を享受し、これを将来の世代に引き継いでいくことを目的として行わなければならない。

2 良好な環境の保全及び創造は、地球環境保全への貢献の意義を理解して、環境への負荷の低減を図り、地域特性を生かしつつ、人と自然が共生していくことを目的として行わなければならない。

3 良好な環境の保全及び創造は、地球の資源は限りあるものとの考えに立ち、自ら調和と節度をもって行動することで、それぞれが責任を果たし、循環型社会を構築することを目的として行わなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)に従い、地域の自然的及び社会的条件に応じた良好な環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施しなければならない。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念に従い、その日常生活において、資源及びエネルギーの消費、廃棄物の排出等による環境への負荷を低減するよう努めなければならない。

2 前項に定めるもののほか、市民は、良好な環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する良好な環境の保全及び創造に関する施策に協力しなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念に従い、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害を防止し、及び廃棄物を適正に処理し、並びに自然環境を適正に保全するため、その責任において必要な措置を講じなければならない。

2 事業者は、その事業活動に伴う資源及びエネルギーの消費、廃棄物の排出等による環境への負荷の低減その他良好な環境の保全及び創造に自ら積極的に努めるとともに、市が実施する良好な環境の保全及び創造に関する施策に協力しなければならない。

3 前2項に定めるもののほか、事業者は、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、廃棄物の発生を抑制し、及び再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。

第2章 施策の基本方針

(施策の基本方針)

第7条 市は、良好な環境の保全及び創造に関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、基本理念に従い、次に掲げる事項を基本として施策相互の連携を図りつつ、これを総合的かつ計画的に行わなければならない。

(1) 大気、水、土壌等の自然的環境構成要素を良好な状態に保持することにより、人の健康を保持し、及び生活環境を保全すること。

(2) 生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他の生物多様性の確保に努めるとともに、森林、農地、水辺地等における多様な自然環境の保全及び回復を図ることにより、人と自然が共生することができる良好な環境を確保すること。

(3) 人と自然との豊かなふれあいを確保するとともに、地域の特性を生かした自然環境及び歴史的、文化的財産の保存並びにこれらの特性を生かした魅力ある都市空間の形成を図ることにより、より質の高い環境を創造すること。

(4) 廃棄物の減量、資源の循環的な利用及びエネルギーの有効利用を推進し、環境への負荷の低減に資することで、持続的な発展が可能なまちを構築するとともに、地球環境保全に貢献すること。

(5) 良好な環境の保全及び創造に関する施策を効率的かつ効果的に推進するため、市、市民及び事業者が協働することができる社会を形成すること。

第3章 施策の総合的かつ計画的な推進

(環境基本計画)

第8条 市長は、良好な環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、岩沼市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 良好な環境の保全及び創造に関する長期的な目標

(2) 良好な環境の保全及び創造に関する施策の方針

(3) 前2号に掲げるもののほか、良好な環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、市民及び事業者の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるとともに、第29条に規定する岩沼市環境審議会の意見を聴かなければならない。

4 市長は、環境基本計画を定めたときは、速やかに、これを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(環境基本計画との整合の確保等)

第9条 市は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図るほか、環境への負荷の低減に資するよう十分に配慮しなければならない。

(年次報告書)

第10条 市長は、毎年、環境の状況、市が実施した良好な環境の保全及び創造に関する施策の状況を明らかにした報告書を作成し、これを公表しなければならない。

(地域の良好な環境の保全)

第11条 市は、多くの生物の生存の確保に配慮するとともに、良好な生活環境を保全するため、海や河川等の水環境の保全及び森林、緑地等の保全に関し、必要な施策を実施するものとする。

(環境教育及び環境学習の推進等)

第12条 市は、関係機関及び関係団体と協力して、良好な環境の保全及び創造に関し、環境教育及び環境学習の推進並びに広報活動の充実を図ることにより、市民及び事業者がその理解を深めるとともに、良好な環境の保全及び創造に関する活動を行う意欲が増進されるよう必要な施策を実施するものとする。

(市民等の自発的な活動の促進)

第13条 市は、市民、事業者又はこれらの者が組織する民間の団体(以下「民間団体等」という。)が自発的に行う緑化活動、環境美化活動、廃棄物減量活動、再生資源の回収活動その他の良好な環境の保全及び創造に関する活動が促進されるよう必要な施策を実施するものとする。

(情報の収集及び提供)

第14条 市は、前2条の施策を実施するに当たっては、必要な情報を収集し、これを適切に提供しなければならない。

(市民等の意見の反映)

第15条 市は、良好な環境の保全及び創造に関する施策に、市民及び事業者の意見を反映させるための必要な措置を講ずるものとする。

(環境影響評価の措置)

第16条 市は、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある土地の形状の変更、工作物の新設等の事業を行おうとする事業者が、あらかじめ適切な段階で、その事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測及び評価を行い、その結果に基づいてその事業に係る環境の保全を図るための適正な配慮を行うようにするため、必要な措置を講ずるものとする。

(規制の措置)

第17条 市は、自然環境の保全を図るため、自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれのある行為に関し必要な規制の措置を講じなければならない。

2 市は、公害その他の良好な環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講じなければならない。

(良好な環境の保全と創造に関する協定の締結)

第18条 市は、環境の保全上の支障を防止するため必要があると認めるときは、事業者等と良好な環境の保全と創造に関する協定について協議し、その締結に努めなければならない。

(誘導的措置)

第19条 市は、事業者及び市民が自らの行為に係る環境への負荷の低減に資するための施設の整備その他の良好な環境の保全及び創造のための適切な措置をとるように誘導するため、必要かつ適正な経済的支援その他の措置を講ずるように努めなければならない。

(良好な環境の保全及び創造に資する事業等の推進)

第20条 市は、下水道、廃棄物の公共的な処理施設その他の環境の保全を図るための公共的施設の整備に関する事業を推進するため、必要な施策を実施するものとする。

2 市は、公園その他の公共的施設の整備などの良好な環境の創造のための事業を推進するため、必要な施策を実施するものとする。

3 市は、環境保全型農業の振興を推進するとともに、多様な野生生物の生息空間の確保、適正な水循環の形成その他の良好な環境の保全及び創造に資する事業を推進するため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(廃棄物の適正処理及び減量の促進等)

第21条 市は、廃棄物の処理に伴う環境への負荷の低減を図るため、市民及び事業者による廃棄物の適正処理が促進されるよう必要な施策を実施するものとする。

2 市は、環境への負荷の低減を図るため、市民及び事業者による廃棄物の減量、資源の循環的な利用及びエネルギーの有効利用が促進されるよう必要な施策を実施するものとする。

3 市は、環境への負荷の低減を図るため、市の施設の建設及び維持管理その他の事業の実施に当たっては、廃棄物の減量、資源の循環的な利用及びエネルギーの有効利用を推進するものとする。

(環境への負荷の低減に資する製品等の利用の促進)

第22条 市は、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する製品等の利用の促進を図るため、必要な施策を実施するものとする。

(調査の実施)

第23条 市は、環境の状況の把握又は環境の変化の予測に関する調査その他の良好な環境の保全及び創造に関する施策の策定に必要な調査を実施するものとする。

(監視、測定等の実施)

第24条 市は、環境の状況を把握し、良好な環境の保全と創造に関する施策を実施するため、必要な監視、測定等の体制を整備するとともに、その実施に努めるものとする。

(国及び他の地方公共団体との協力)

第25条 市は、広域的な取組を必要とする良好な環境の保全及び創造に関する施策については、国及び他の地方公共団体と協力して、その推進に努めるものとする。

(地球環境保全及び国際協力)

第26条 市は、地球環境保全に資するため、地球の温暖化の防止、オゾン層の保護その他の地球環境の保全に関する施策を推進するものとする。

2 市は、国、他の地方公共団体、民間団体等その他の関係機関と連携し、地球環境の保全に関する国際協力を推進するよう努めるものとする。

(総合的な調整等のための体制の整備)

第27条 市は、市が行う良好な環境の保全及び創造に関する施策について総合的な調整を行い、計画的に推進するために必要な体制を整備するものとする。

(市民等との協働体制)

第28条 市は、良好な環境の保全及び創造に関する施策の効率的かつ効果的な推進を図るため、市、市民、事業者及び民間団体が協働することができる体制の整備に努めるものとする。

第4章 環境審議会

(環境審議会)

第29条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、岩沼市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を審議する。

(1) 環境基本計画の策定及び変更に関すること。

(2) その他、良好な環境の保全及び創造に関する重要事項

3 審議会は、前項に定める事項に関し、市長に意見を述べることができる。

(組織)

第30条 審議会は、委員15人以内で組織する。

2 委員は、次に掲げる者のうちから、市長が委嘱する。

(1) 学識経験を有する者

(2) 公募による市民

(3) 関係行政機関の職員

(4) 前3号に掲げる者のほか、市長が必要と認めたもの

(任期)

第31条 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 委員は、再任することができる。

(会長及び副会長)

第32条 審議会に会長及び副会長を置き、委員の互選により定める。

2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。

3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

(会議)

第33条 審議会の会議は、会長が招集し、会長がその議長となる。

2 審議会の会議は、委員の半数以上が出席しなければ開くことができない。

3 審議会の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

4 会長は、必要があると認めたときは、会議に関係者の出席を求め、説明又は意見を聴くことができる。

(庶務)

第34条 審議会の庶務は、環境課において処理する。

(令5条例4・一部改正)

第5章 雑則

(委任)

第35条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成27年4月1日から施行する。

(岩沼市環境審議会条例の廃止)

2 岩沼市環境審議会条例(平成8年条例第2号)は、廃止する。

(令和5年条例第4号)

(施行期日)

1 この条例は、令和5年4月1日から施行する。

岩沼市環境基本条例

平成27年3月3日 条例第2号

(令和5年4月1日施行)

体系情報
第8編 生/第2章
沿革情報
平成27年3月3日 条例第2号
令和5年2月28日 条例第4号